2013年2月3日日曜日

恋する馬型ロボットで世界の危機と戦う。「放課後ライトノベル」第67回は『異界兵装 タシュンケ・ウィト

。そんなある日,範子と「僕」が2人きりでいるところに,10年前に行方不明になっていた天才的異界研究者,長木蓉(ちょうきよう)が現れる。続いてやって来た,蓉の大学時代の同期にして異界研准教授?安和将麻(あわしょうま)が彼女を問いただそうとする中,突如として未知の敵が範子たちを襲撃。「僕」は身を挺して,巨大な人型をしたその敵から範子たちを守ろうとする。  そう,「僕」とは20年前に化石化し,異界研で鎮座していた異界兵装。頭頂高20メートルの巨体を持つ,馬の姿をした兵器タシュンケ,Diablo3 Gold?ウィトコなのだ。 ●「僕」と彼女の,恋と戦いの1年が始まる  これまでに確認された中で最大の異界兵装である「僕」だが,20年のブランクは大きく,襲撃者に苦戦を強いられる。そのとき,範子が手綱の形をした異界兵装を出現させ,「僕」を操ることで,辛くも勝利を収める。「僕」と範子の恋は,そうして始まった。  しかし「僕」が人に恋をするのは,実はこれが初めてではない。その相手は,20年前,「僕」が化石化するきっかけとなった出来事の中で出会った1人の少女。彼女の面影を宿す範子に,「僕」は強く心惹かれ,彼女と共に過ごすことに,深い喜びを見出すようになる。  一方の範子は,幼いころから馬術を学んでいたが,あるとき事故で乗っていた馬を失って以降,馬に乗るのをやめていた。だが「僕」を操り,「僕」と共に戦うことで,馬を操る喜びを思い出す。そして同時に,その楽しさを思い出させてくれた「僕」に,種族(?)を超えた感情を抱くようになる。  兵器と人間。馬と人。2人の間に存在する壁は,とんでもなく厚く,高い。そのはずなのだが,2人はまるでそんなものは存在しないかのように,ごく自然に互いに惹かれ,恋に落ちていく。範子がもともと馬好きだったとか,パイロットとそれに操られる兵器という深い関係性にあったとか,理由はいくらでもつけられるだろう。しかしそんな理屈を軽々と飛び越えて心を通わせる2人の姿は,恋とはもともとそういうものだというのを突きつけられているようで,どこかまぶしい。  ちなみに人に恋する兵器である「僕」だが,どうも巨乳好きらしく,たびたび女性(もちろん人間)の胸元に目をやったり,好みの(巨乳の)女性が近くにいるとテンションが上がったりと,内面はやたらと俗っぽい。それが落ち着いた語り口や,普段の寡黙な(「僕」は人語を解するが,話すことはできない)様子と相まって,なんともユーモラスな空気を作品に与えている
関連トピック記事:

0 件のコメント:

コメントを投稿